パーシモンウォールは基材の粉体調整により天然素材では難しい「薄塗り」を可能にした「圧倒的な塗りやすさ」が特徴の機能性自然素材塗り壁材です。
さあ、ここまで資材や道具の準備と下地処理と養生が終わりました。
次はいよいよDIYで塗り壁の実践になります。
このページでは【実践編】として、パーシモンウォールのDIY施工のポイントを説明します。
施工時のご注意
パーシモンウォールは材料に漆喰も含んでおり、また製品をクリーム状に練る際に使用する水も腐食を防ぐためにアルカリ性水を使っているため、高いアルカリ性になっています。
皮膚に付着したまま放置していると皮膚が荒れてしまう場合があります。
材料が皮膚に付着した時は、できるだけ早めに洗い落すようにしてください。
また、【準備編】でも書きましたが、材料が目に入ると大変危険です。
必ずゴーグルなどで目に入らないように保護をしてください。
パーシモンウォールは非常に粒子の細かい材料なので、施工時に服や椅子やソファーの布部に付着すると落ちにくくなりますのでご注意ください。
■施工時は汚れても良い服装で作業してください。
■また布部に材料が付着した場合は、すぐに濡れたウェスなどで擦りつけずに材料をつまみ上げるように取り、白さが落ちるまで十分ふき取ってください。
製品の開梱と保存方法
パーシモンウォールの開梱と保存
パーシモンウォールは、DIYでの施工でも使いやすいように製品はクリーム状に練った状態で届きます。
パーシモンウォールを開梱と保存方法は下の画像をご覧ください。
水分の調整
パーシモンウォールを開封したあと、開けたままの状態で放置しておくと水分が蒸発して練りが硬くなる場合があります。
また、塗る時に「もう少し柔らかい方が塗りやすい」と思うような場合は、水を混ぜて粘度を調整することが可能です。
水を足して粘度を柔らかくする時は、絶対に一度に大量の水を足さないでください。
水を足し過ぎてゆるくなってしまうと元に戻すことができません。
水は少量でも粘度は変わります。
20kg入りの缶で開けたばかり状態でも、まずは50cc程度の水を足して全体をよくかき混ぜて粘度を確かめてください。
その上で、まだ硬いようであればさらに50cc程度を足して状態を確認しながら調整するようにして下さい。
養生テープを剥がすタイミング
これは塗り終わった後の話ですが、養生テープを剥がすタイミングは【コテ】タイプも【ローラー】タイプも同じなので先に説明します。
作業終了後は必ず養生テープを剥がさなくてはなりませんが、このタイミングがとても重要です。
まず、乾いていない状態で養生テープを剥がしてしまうと、材料をテープが引っ張ってしまい糸を引いたようになったりして、テープを剥がした部分に材料が付着してしまう事があります。
また、完全に乾いた状態で養生テープを剥がすと、剥がれてはいけない部分の材料まで一緒に剥がれてしまい、見切り部分がガタガタになってしまいます。
養生テープをきれいにはがすタイミングは、
塗った部分を指で軽く触ってみて、表面の材料が完全に指に付いてこない程度の乾燥状態の時に剥がすと、きれいに剥がれやすくなります。
テープを剥がす時は、下の図のような角度で剥がすときれいに剥がれやすくなります。
もし、養生テープを剥がした時に材料がテープに引っ張られるような状態の時は、しばらく経ってから剥がしてください。
また、乾燥し過ぎて養生テープを剥がした時にエッジがボロボロと崩れてしまうような時は、他の部分も乾燥しすぎないように早めに剥がすようにしてください。
剥がした部分が酷くボロボロになってしまった時は、テープを剥がした後に、改めて養生テープを貼り、その部分を塗りなおしてください。
【ローラー】タイプの施工
ローラーは3回塗り
パーシモンウォール【ローラー】タイプは「3回塗り」が基本となります。
塗る方向は以下のようになります。
①仕上げ塗りの時に、ローラーをどの方向に向けて塗るかを決めます。
(壁の場合は主にタテ方向が仕上げローラーの向きになると思いますが、天井の場合はお部屋の形により変わりますね。)
②1回目は仕上げの時と同じ方向で塗ります。
③2回目は1回目に対して垂直な方向に塗ります。
④3日目は最初に決めた仕上げの方向です、2回目とは垂直な方向になります。
つまり、壁塗りで仕上げをタテ方向にするときは… タテ塗り → 横塗り → タテ塗り という順番で塗っていくことになります。
ローラーで塗るときに、材料を多くローラーに付け過ぎないようにしてください。
たくさん付けてしまうと、ローラーがうまく回転しないでムラになる場合がありますし、材料が垂れ落ちる原因にもなります。
材料はできるだけ均一に、マメに付けるようにしましょう。
塗るタイミング
2回目以降を塗るタイミングは、基本的に前に塗ったものが乾いてからとなります。
できれば、1回目を初日、翌日に2回目、その翌日に3回目と塗った方が先に塗った部分の渇きが良く、「滑り」も少なくなります。
しかし、完全に乾くのを待って塗っていたら非常に時間がかかってしまいますので、表面がある程度乾いたら次の塗装をすることも可能です。
例えば、朝から壁の端から1回目の塗りをスタートしてお昼過ぎに1回目が全て塗り終わったとしたら、一番初めに塗り出した部分の表面を軽く触ってみて指に材料が付いてこない程度に乾いていれば、2回目を塗ることができます。
ただし、1回目に塗ったときに「滑り」が多かった場合は、できればしっかり乾燥させて、翌日に塗るようにした方が良いこともあります。
また、同日に重ねて塗る場合は、あまり力を入れずに、ローラーの自然な転がりで塗るようにして下さい。
力を入れて塗ると「滑り」が多くなることがありますのでご注意ください。
【コテ】タイプの施工
パーシモンウォール【コテ】タイプは1回塗り仕上げです。
[製品について事前にご理解いただきたいこと]のページでも書きましたが、DIY施工でのパーシモンウォール【コテ】タイプの仕上げは「コテむら仕上げ」をおすすめしています。
ここでは「コテむら仕上げ」を前提に【コテ】タイプの施工について説明していきます。
コテ塗りは材料を下地が透けない程度に薄く伸ばしながら、コテを一定の角度に保って塗るのがポイントです。
厚く塗ってしまうと予想以上に材料を使うことになってしまいますのでご注意くださいね。
コテの使い方のコツ
「コテを使うのは今回が初めて」という方も多いと思います。
もちろんプロの職人さんのようにはいきませんが、コテは慣れると意外とスムーズに使うことができます。
ここでは、コテの使い方のコツを説明します。
コテを持つときは力まずに自然に持つ
コテは力んで持ってしまうと一定の力加減で動かすことが難しくなり、塗った表面が波打つようになってしまいます。
一定の力加減で動かせる程度に自然に持ちましょう。
コテは進行方向の側面を少し浮かして動す
コテは基本的に左から右や、下から上のように一方通行で動かします。
その際、進行方向の側面を少し浮かせ、できるだけ一定の角度を保って材料を塗るようにします。
動かすときは手だけではなく、体も一緒に動かすようにすると一定の角度を保ちやすくなります。
ポイント
コテを平らにして塗る面につけてしまうと、動かす時に材料がコテの上に乗ってしまい動かせなくなります。
また、平らにした状態で塗り面から無理に離そうとすると材料が引っ張りあげられてしまうので、離すときは進行方向の側面を浮かせて自然に進ませて離すようにしましょう。
コテに付いた材料はマメに落とす
コテで塗っていると、コテの同じ位置に引きずったような線が付いてしまうことがあります。
これはコテに付いた材料が固まって、塗ったときにスジ跡になってしまっている場合が多いです。
そのような時は、コテ台にコテを擦りつけて固まりを落としてください。
また、コテ台に擦りつけても落ちないときは、コテに付いた材料を拭き落とし一度コテを水で洗いましょう。
コテに付いた材料はマメに落とすようにするとスジ跡が付きにくくなります。
ご注意:コテを拭いたり洗ったりする時に、コテのフチで手を切らないように気をつけてください!!
材料の空気を抜く
パーシモンウォールは工場の専用機器で撹拌しており、材料の中に多くの空気を含んでいます。
パーシモンウォールを開けてひしゃくなどで材料をすくうと分かりますが、下の画像のように材料には多くの気泡があります。
この空気を含んだままパーシモンウォールを塗ってしまうと、少し見えにくいかもしれませんが下の画像のように乾燥後に小さな穴が開いたような状態になることがあります。
このような気泡穴を防ぐためには、材料をコテ台の上で、コテを使って空気抜きをしてください。
材料をコテ台に乗せて、コテで材料を少しづつ台に押しつぶすように擦りつけて空気を抜きます。
台に乗せた材料を一度にする必要はなく、コテに取るごとに押しつぶしてから取るようにすれば大丈夫です。
「多少の穴なんて気にしない」という方はそのまま塗っても大丈夫ですが、気泡穴は意外と目立ちますのでご注意くださいね。
塗る順番とコテの動かす向き
「コテむら」で仕上げる場合、基本的に塗ってゆく順番とコテを動かす向きを決めておき、できるだけその順番に沿って塗ることで自然な「コテむら」になります。
順番や向きを決めるといっても厳密にそれを守って塗らなければならないということではありません。
ある程度決めておくことで作業もやり易くなるという感じで考えてください。
ここでは一般的な塗る順番とコテを動かす向きで説明しますが、「コテむら」仕上げはあなたなりの自由なパターンを楽しめる仕上げです。
あなた独自の工夫をこらして仕上りを楽しんでください。
塗る順番
コテ塗りする時、一般的には「上から下へ」塗るようにします。
この順番で進めて行くと、下の画像のように後で塗ったコテ跡の上部が残るような感じになります。
この画像の塗り方はコテを左下から右上方向へ塗り上げるようにしています
上の画像にもあるように、ところどころ順番を無視してコテが入っています。
このように、あまり順番にとらわれなくても自然な感じに仕上がりますのであくまでも目安と考えてください。
塗っている途中で気になるところがあれば修正してくださいね。
コテを動かす向き
「コテを動かす向き」もできるだけという感じで問題ありませんが、どちらかというと塗る順番よりもコテを動かす向きをできるだけ一定にする方が自然な感じに仕上がるポイントになると思います。
動かす向きは右利きの方・左利きの方で動かす方向も変わりますし、左右に動かす場合や上の画像のように下から斜め上へ動かす場合もあります。
これは最初に決めるというよりも、塗り始めてみてコテを一定の角度に保って動かしやすい方向で決めれば大丈夫です。
パーシモンウォールは乾燥時間が取れる
パーシモンウォールのDIYの施工に向いている大きな特徴に「乾燥時間が取れる」という点があります。
「乾燥時間が長いのはデメリットじゃないの?」と考えてしまう方もいらっしゃると思いますが…。
アクリル樹脂系の接着剤などが多く含まれている塗り壁材は乾燥が早く、これは一見良いことではないかと思ってしまいますが、乾燥が早いということは「一発で仕上げなければならない」ということになります。
これは意外とプロの左官屋さん泣かせなことでもあり、DIYで塗るとなればなおさらです。
パーシモンウォールは乾燥までに少し時間がかかりますので、塗る・離れて見る・テクスチャーを手直しするということが可能です。
コテのパターンも見直しながら作業することができますね。
際(きわ)の塗り方
際と入隅
天井と壁の際や、巾木や枠の際を塗る時の説明をします。
際を塗る場合は、先に際を塗ってからその周りの面を塗るようにします。
そうすることで、際のコテ跡が目立たなくなり自然な感じに仕上がります。
際を塗る場合は、コテの側面を際のラインに合わせ、際から内側へ向けてコテを動かすようにします。
ドアや窓枠などの縦部分の際も同じ要領で施工して下さい。
また、入隅 (壁など二つの面が出合った所の内側の部分で凹んで見える側。反対に凸で見える部分は「出隅」といいます。)も施工方法は同じですが、入隅を塗る際は、最初に塗った片側の面が乾いてから反対の面を同じ要領で塗るようにします。
これは、入隅の角にコテを当てる必要があるので、先に塗った部分が乾いていない状態で残りの面を塗ると、最初に塗った面にコテの跡が付いてしまうことを防ぐためです。
出隅
見切り材のない出隅を塗る場合、入隅と同じように片面を塗り、乾いてから残りの面を塗るようにします。
ポイントは、角の部分でコテを止めずに「スッと」送り出す感じで塗ります。
両面を塗った後で、角が尖りすぎてしまった場合は、完全に乾燥した後でサンドペーパーで尖った部分を均すようにすると自然な感じに仕上がります。
道具の洗浄
最後は使った道具の洗浄について説明します。
パーシモンウォールは粒子が細かいので水道で洗っても下水管が詰まるようなことはありませんが、道具に付着している材料はなるべく雑巾やペーパータオルなどでふき取ってから、水を多く流しながら洗うようにして下さい。
(排水口に材料が残ったままにはしないで、全て流し切ってください。)
ローラーの洗浄
ローラーとハンドルを外します。
ハンドルにはそれほど多くの材料はついてないと思いますので、そのまま水道で洗ってください。
ローラーには材料がたくさんついていることもありますので、材料を雑巾やペーパータオルなどでできるだけふき取ります。
トレイに残った材料も雑巾やペーパータオルなどでできるだけふき取ってください。
(トレイにたくさん材料が残ってしまったら、汚れたりしていないは材料であればポリペール缶に戻しても大丈夫です。)
ローラーとトレイは材料を雑巾やペーパータオルなどでふき取った後は水道で洗ってください。
特にローラーは水道で洗ってもなかなか材料が落ち切りませんので、ある程度まできれいになったら終わりにしましょう。
コテの洗浄
コテやコテ台も同様に付着している材料を、雑巾やペーパータオルなどでできるだけふき取ります。
材料を雑巾やペーパータオルなどでふき取った後は水道で洗ってください。
ご注意:コテを拭いたり洗ったりする時に、コテのフチで手を切らないように気をつけてください!!
以上で、パーシモンウォールのDIY施工の説明は終了となります。
ありがとうございました。
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